TENNOZ × PEOPLE #01
KAZESORA 〜風空〜 No.1 ※こちらの記事は2013年11月25日の記事です
天王洲アイルの
ボンドストリートから、
世界に向けて日本を発信する。
天王洲アイルで、始めたヒト
河内タカ
株式会社アマナホールディングス
『amana photo collection』 チーフディレクター
世界に向けて、日本の新たな
写真の価値を発信する
天王洲アイルのボンドストリートに位置し、ストックフォトから広告制作、デジタルコンテンツなどあらゆるビジュアル・コミュニケーション事業を扱う、『株式会社アマナホールディングス』(以降アマナ)。あなたが見ているあの雑誌や、広告などの写真は、アマナのものかもしれないし、あのアイドルを撮影したフォトスタジオもアマナが所有しているものかもしれない。いずれにしても、あなたは毎日、何らかのカタチでアマナの写真を観ているはず。そんなアマナが2011年4月から、日本の現代写真家の優れた作品を収集する『アマナフォトコレクション』を開始した。その中心にいるのが、今回紹介する『アマナフォトコレクション』のチーフディレクター、河内タカ氏だ。
「このフォトコレクションは10年間にわたって継続的に行っていきます。その年のコレクションは一冊のアニュアルブックにまとめ、2014年春には3冊目ができます。今から7年後には大きなコレクションが出来上がっているはず。国内だけではなく、世界に向けてなんらかのインパクトを残せると思います」
2013年12月にはオークションハウスのサザビーズ・ジャパンで『アマナフォトコレクション』の展覧会が開催される。このコレクションは美術館などへの貸出は行うが、決して販売はしない。次世代の作家の育成と写真業界の活性化、さらに、日本の現代写真家が世界で評価を得られるための布石を敷き、その橋渡しを目的としている。
日本の写真界の将来を担う、
河内氏の“目”
コレクションを開始してから2年半の間で400点あまりの作品を購入してきた河内氏。その写真を観る“目”に、アマナ、ひいては日本の写真界の将来が掛かっているといっても過言ではない。河内氏に写真を見極めるポイントを聞くと、こんな答えが返ってきた。
その写真を自分がずっと観続けることができるかどうか。
そのバックグラウンドには膨大な写真を観てきた“目”がある。河内氏はニューヨークを拠点として、20年以上もの間、写真のキュレーションを軸に、写真集の編集や雑誌への執筆をしてきた。その過程で、美術館やギャラリーを訪れ、膨大な数の写真を観続け、世界の多くの写真家と会ってきた確かな“目”を持っている。
「たとえば、誰かが『この作品の良さが分からない』と言ったとき、『それはここが面白い』と言うことができる。おそらく蓄積してきた様々な写真の情報量が良い写真を見極める目となっているのかもしれませんね。そしてこのコレクションは、今の時代に最もエッジの効いた写真家であり、永く残り続ける新鮮さを持ち合わせている作品を選んでいます」
そんな世界の一流を見続けてきた河内氏に写真の楽しみ方を聞いてみた。
「たとえば写真集を観た後に、ギャラリーや美術館でその写真を観に行く。すると、自分の頭の中のイメージと大きく違ったりするんですね。サイズ感はもちろん、色味や雰囲気も違う。その不意を喰った驚きが、大きな感動を与えてくれるんです。また、それぞれの写真にまつわる話を解説などで知るだけでも、写真を観る面白さに深みが出てきます。写真集の文章を読み、その写真の背景にあるストーリーを知り、ギャラリーや美術館に展示されている写真を観に行く。そういった流れが写真の世界へ入っていくきっかけになるんじゃないでしょうか」
アマナは、フォトコレクションを開始した翌年の2012年3月に日本全国の写真情報の総合検索サイト『IMA ONLINE』を開設し、同年8月には写真をゆっくり読む雑誌『IMA』を創刊。さらにモノクロ写真を豊かな階調に再現し、美と卓越した耐久性を実現する『プラチナプリント』の企画制作・販売を開始した。河内氏は、これら“日本の新たな写真の価値を発信する”新事業にも大きく関わっている。
天王洲アイルのボンドストリートから、世界に向かって日本を発信している河内氏。日本の写真界は今、世界に大きなインパクトを与えようとしている。
amana photo collection アマナフォトコレクション
日本の才能ある写真家や優れた写真刊行物が、世界の写真家や写真愛好家たちから注目されている。アマナは、今後さらに、世界で活躍する日本人写真家の才能を生み出すためにも、日本の写真を取り巻く環境に変化を与えることは重要であると考え、国内外に発信するためのコンテンツとして作品収集を手がけている。2020年まで10年間にわたる継続的な活動を予定し、河内氏は、「10年間にも及ぶコレクションは“重要な軌跡”になるはず」と力強く語る。
PROFILE | かわち・たか
サンフランシスコのアートスクールを卒業後、ニューヨークを拠点に展覧会のキュレーションや写真集の編集などを行う。代表的な展覧会にナン・ゴールデンやリチャード・プリンスなど。また、ニューヨークのAperture社から出版された写真集『Takashi Homma Tokyo』の編集などを行う。2011年に帰国。現在は「アマナフォトコレクション」のチーフ・ディレクターとして日本人作家に限定した現代写真コレクション収集を手がける傍ら、Apertureのインターナショナル・アドバイザーの業務も兼ねる。
取材協力 | amana
[株式会社アマナホールディングス]ストックフォト事業や広告・デジタルコンテンツを中心としたビジュアル制作、3DCGアニメーション製作など、幅広いビジュアル・コミュニケーション事業を国内最大規模で展開しており、2011年からアートフォト事業をスタート、amana photo collectionをはじめ2012年に“LIVING WITH PHOTOGRAPHY”をテーマに写真の楽しみ方を提案するIMAメディアプロジェクト、プラチナプリントやポートフォリオ集を企画制作する出版社amana saltoを立ち上げた。
KAZESORA 〜風空〜 No.1
2013.11.25.の記事です。
Editor:Shigekazu Katsumata 勝又シゲカズ BTTB inc.
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