「そうま食べる通信」in SØHOLM
畑も漁場もないけれど、食のことを考える街へ
風空No.5にご登場いただいたSØHOLMの河合さんから、風空編集部に連絡があったのは夏の終わり。「食欲の秋へ向けて、おいしいもの、取材しませんか?」とお誘いいただいたのだ。同じ海辺の街、福島県相馬市から漁師がくるのだという。確かに、おいしい何かがありそう!
ゆったりとした時間が流れる、秋の天王洲アイル。土曜日の午前中はまだ人もまばらだ。しかし、イベント会場であるSØHOLMはずいぶん賑わっている。
「河合さん、“おいしいもの”って何ですか!?」とさっそく尋ねる私たちに手渡されたのはパンフレット「そうま食べる通信」だった。
私たち、風空編集部のようにフリーペーパーは数多く存在しているが、最近では“食べ物付きの情報誌”が全国に拡大している。東北や四国など大きな地域で作るものから、県や市の単位で作るなど、エリアごとのおいしいものを、そのリアルな情報とともに会員へ届けている。各地でこの食べ物付き情報誌が好評を得る中、2015年秋からは福島県相馬市が新たに「そうま食べる通信」を創刊。今日は、その創刊記念イベントだ。
「そうま食べる通信」の編集者であり現役漁師が、自ら水揚げした魚介とともに上京。集まった人々は相馬の歴史や海の幸について教わりながら魚介を味わえる。
会場に集まった約80名の人々との対談コーナーも。創刊までの裏話から漁での武勇伝まで、「そうま食べる通信」を支える編集部員の暮らしが語られた。
「都会には“食”のこと、とくに生産の現場のことを教えてくれる人がなかなかいない。だから、発信したいという生産者に『教えて!』って消費者が気軽に聞ける場所を提供したいと思いました」
常に生産地に出向いて、現場を肌で感じている河合さんらしいアイディアだ。天王洲アイルには畑もなければ、海辺の街ではあっても漁場はない。けれど、都心からアクセスしやすいこの街に教えてくれる人さえいてくれたら“食を考える”場所にはなれるだろう。
「これからも『食べる通信』と様々な企画を通して生産者と消費者を繋ぎたい。レストランにとっても、消費者にとっても、生の情報は食のことを考えるよいきっかけになります。レストランが多く、食に関心の高い人が多く足を運ぶここ、天王洲アイルを発信源として食文化を広めたいですね」
“都心なのにゆったり”がイベントにぴったりの街
イベントを企画したコーディネーターの新井幸子さんは、「新宿や渋谷から十数分で来られるとは思えないほど、ゆったりと過ごせる街。イベントの前後で、天王洲らしい水辺の散歩も楽しんでいただけますよね!」
COORDINATOR | 新井幸子さん LINK the SKY 代表
そうま食べる通信
KAZESORA 〜風空〜 No.6
2015.11.02.の記事です。
Direction & Design:Shigekazu Katsumata 勝又シゲカズ BTTB inc.
Text:Eri Sakuma さくまえり
Photographer:Soichiro Kosuga 小菅聡一郎
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