くるくると表情を変える街を舞台に

天王洲アイルの散策デートへ

　くるりと振り返った彼女は、日傘をさして、もう歩き出していた。今日は、私たちがついて行くことにしよう。今号の表紙撮影が決まってから、品川に勤務している姉と二人、天王洲アイルを散歩して道を覚えたのだという。

「オーディションを受けたり、銀河劇場の公演に出演したり、以前この街に来たときには、“いろんな人がいるなあ”という印象でした。ここで働く人、ベビーカーを押して散歩するママ、ジョギングしている人、ホテルに向かう海外からの観光客、お芝居を観に来た人、お芝居に出演する人…。天王洲アイルって、いろんな人がいて不思議な街だなあと思っていました。でも、今回姉と散歩してみて、イメージが変わったんです。ニューヨークみたいな趣の街並みや広場があって…たくさんの表情を持っているから、お散歩デートにぴったりの街！」

　ところどころにベンチやボードウォークがあって、のんびり散歩しているだけでも一日楽しめそうだという。

「品川から近いし、渋谷からも電車で一本。都心らしいビル群もあるけれど、海や運河があって、緑も感じられるし、何といっても空が広い！　眺める方向によってくるくる表情を変える街だし、吹き抜ける風が最高ですよね！」

　15歳でスカウトされてデビューし、今年で芸能生活10周年。『着信アリ Final』の映画出演にてデビュー。最近では連続ドラマ「デート～恋とはどんなものかしら～」や「孤独のグルメ」など話題の作品に出演し、注目を集めている。

「どんな役をいただいた時も、経験がないものは実際に見にいったり、体験することから役作りを始めます」

　たった一日で映画を撮影することもあるという過密なスケジュールの中でも、美容師役であれば美容院で撮影日の朝方まで練習することもあるという。今回も、撮影前に、天王洲アイルを訪れていたのは、彼女の女優としての習慣みたいなものかもしれない。

「最近、素敵だなと思う女優さんは、満島ひかりさん。演じる役柄によって、全然違う表情を見せているから。私も、いつも違った表情を見せられる女優でありたいです」

　20代半ばになり、学生役から少しずつ大人な女性の役が増え、幅が広がってきたところだと彼女は説明するが、天王洲アイルを歩いている間、私たちにいろんな表情を見せてくれた。くるくる表情を変える街・天王洲アイルのいたるところを舞台にして。

ロングインタビュー

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